消化器内科

消化器内科について

消化器内科について食道や胃・十二指腸・小腸・大腸などの消化管と、消化を助ける胆のう・膵臓・肝臓を含めた消化器全般の症状及び疾患の診断・治療をしています。多くの患者さんが、腹痛、吐き気や嘔吐、飲みこみにくさ、胃の不快感・痛み、下痢、便秘、血便などの症状をきっかけに受診しています。これらの症状に加えて、発熱や貧血などの症状が合併する場合もあります。消化器疾患は、異なる疾患でも似た症状が現れることもあるので、消化器内科専門の医師による診療、正確な診断を受けることが大切です。消化器がんは、早期発見早期治療が大切ですので、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
当クリニックでは、最新の消化器内視鏡検査、CTも施行が可能です。

以下のような症状がある方は、ご相談ください。

消化管の病気(食道・胃・大腸)

食道の病気

逆流性食道炎

胃酸や胃で消化中の食べ物が食道に逆流して食道の粘膜に炎症が起きた状態を逆流性食道炎と言います。しつこい胸やけの症状と胸の痛み、長引く咳、のどの違和感、ゲップなどが主な症状です。加齢や欧米化した食生活、喫煙や飲酒などの生活習慣、肥満などが原因となり、近年増加傾向にある疾患です。

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食道裂孔ヘルニア

横隔膜を食道が通る穴を食道裂孔といい、本来横隔膜の下にある胃の一部分が横隔膜の上に滑り出している状態を食道裂孔ヘルニアといいます。無症状のことも多いですが、典型的な症状は胸焼け、ゲップ、酸っぱい液が口にまで上がってくる呑酸(どんさん)、食べ物がつける感じです。肥満や気管支炎・喘息など咳が多くお腹の圧力が高くなることが原因ともされています。

食道アカラシア

食道裂孔ヘルニアと逆で、食道と胃のつなぎ目がきつく、食べものが胃へ通過できない状態を食道アカラシアと言います。食べ物が胃に行けず食道内に滞留するため、つかえ感や嘔吐などの症状があります。なんらかの食道機能異常によるもので、明らかな原因は不明で、遺伝的素因、退化現象、自己免疫説、感染因子などが言われています。内服治療のほか、内視鏡を使ったバルーン拡張術や筋層切開術治療などがあります。

食道がん

飲み込むときにしみる感じがする、飲みにくい、といった症状があり、飲酒や喫煙がリスクとなります。早期発見できれば、内視鏡にて治療が可能です。日常的に飲酒・喫煙される方は定期的な内視鏡検査をすることをお勧めしております。

食道乳頭腫

食道にできる良性の隆起性病変で、3~10㎜ほどの大きさです。パピローマとも呼ばれ、無症状で治療の必要もありません。

食道アカントーシス

食道に散在する白色の隆起です。2~5㎜の類円形をしています。10%前後の人で見られると言われていますが、無症状のため、経過観察程度で問題ありません。

食道バレット上皮(バレット食道)

食道と胃のつなぎ目の食道粘膜が、胃の粘膜に置き換わっている状態をバレット上皮と言います。逆流性食道炎が原因とされ、食道がんのリスクとなるので注意が必要です。気になる症状がある方、また一度でもバレット上皮の診断をされたことのある方は、定期的に内視鏡検査を受けるようにしてください。

食道カンジダ(カンジダ性食道炎)

カンジダとは、カビ(真菌)の一種で、常在菌として身近に存在しています。風邪など免疫力や抵抗力が落ちているときには、食道に目に見えるように現れます。内視鏡では1~2㎜の白い付着物が見えます。基本的には治療しなくても大丈夫です。それでも重度の場合には、抗真菌薬と呼ばれる内服薬を用いて治療します。

好酸球性食道炎(アレルギー性食道炎)

好酸球とは、白血球の一種で食道がこの好酸球によって炎症が起きている状態を好酸球性食道炎と言います。アレルギーが原因とされ、食べもののつかえた感じや嚥下困難感などの症状があります。診断には食道粘膜の生検が必須であるために胃カメラが必要です。治療としては、PPI(プロトンポンプ阻害薬)の内服、食事療法、があり重度の場合は、ステロイドを使った治療を行うことがあります。

胃の病気

胃潰瘍

胃潰瘍は、胃の粘膜が深くまで傷ついている状態を言います。主な症状は、食後のみぞおちの痛みで、時に背中の重苦しさを自覚される方もいます。ストレスで悪化することがあり、ピロリ菌感染、痛み止めの内服などが主な原因とされています。胃カメラによって診断し、ピロリ菌が確認できた場合には、ピロリ菌除菌療法を行います。

慢性胃炎

胃炎が長期にわたって続いている状態を慢性胃炎と言います。胃潰瘍と同じように、ピロリ菌感染が原因とされています。主な症状は、胸やけ、胃もたれですが、ほとんどの慢性胃炎は無症状です。ピロリ菌の感染がある場合は、除菌を行います。そのほかに、胃酸を抑える薬や胃粘膜を保護する薬、消化管機能を高める薬などで治療を行うこともあります。

急性胃炎

胃粘膜の炎症が急激に起こる状態を急性胃炎と言います。主な原因は、アルコールやストレス、アレルギー、薬剤とされ、自然に治ることが多いです。場合によっては、胃酸を抑える薬などの服用が必要になります。アニサキスは内視鏡で虫体を除去します。

胃びらん(びらん性胃炎)

症状はあまりありませんが、胃粘膜が浅く傷ついている状態を胃びらんと言います。胃痛などの症状がある場合は胃薬の内服治療を行います。

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎は、慢性胃炎の一種です。ピロリ菌感染による胃粘膜の炎症が長く続いていることが原因です。症状はあまりありませんが、胃がんのリスクがあると言われているため、ピロリ菌の除菌を行い、定期的な胃カメラ検査を受けるようお勧めしています。

ピロリ菌感染症

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する菌です。主に、胃や十二指腸の病気の原因となります。とくに、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
これらのリスクを減らすために、除菌を行いましょう。
除菌した後も胃がんのリスクがゼロになったわけではないので、定期的な胃カメラ検査を受けていただく必要があります。また、ピロリ菌除菌後の再出現や再感染も報告されています。

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胃がん

胃がんは、胃の壁の内側を覆っている粘膜の細胞がなんらかの原因でがん細胞となり、増えていくことによって発症します。日本人にもっとも多いがんの一つです。早期では、内視鏡治療で完治できるため、早期発見早期治療が非常に重要です。また胃がんは、ピロリ菌発生に関わっていることが多いため、ピロリ菌検査を受けることもお勧めいたします。

胃底腺ポリープ/過形成ポリープ

胃ポリープは、胃の粘膜細胞が増殖した結果、カリフラワーやドームのように盛り上がった状態になったものをいいます。
胃ポリープは、大きく胃底腺ポリープと胃過形成性ポリープに分けられます。
これといった自覚症状はなく、いずれも健康診断のときに発見されることが多い病気です。
上部消化管内視鏡により、生検検査を行い、胃ポリープのタイプを鑑別し、治療法を決定します。ピロリ菌や鉄欠乏性貧血を伴っていることもあるので、ピロリ菌感染検査や採血検査なども行います。
胃底腺ポリープはがん化することがほとんどないので、経過観察する必要もありません。
胃過形成性ポリープは、ピロリ菌が感染していることが多く、感染が陽性の場合は除菌をします。平均して7カ月後には約80%のポリープが消失します。
ポリープが複数になったりして巨大化し出血を繰り返す場合は、内視鏡手術でポリープを切除します。
胃過形成性ポリープは、癌化の頻度は平均2.1%であり、まれに癌化するので、年1回の内視鏡検査を行いましょう。(癌化した胃過形成性ポリープのほとんどが最大径2cm以上でした。)

機能性ディスペプシア

胃もたれやみぞおちの痛みなど不快症状があるにもかかわらず、内視鏡検査をすると特に原因が見られない疾患です。機能性ディスペプシアは、胃の粘膜に異常がなくても、胃の機能や働きに問題がある状態を言います。治療方法は、生活習慣の改善や胃酸を抑える薬の内服、消化管の運動機能を調整する薬などの内服治療を行います。

アニサキス症

アニサキスは、魚介類に寄生する寄生虫の一種です。サバやイカ、サンマ、イワシなどの魚介類を生で食べることで人体の中に入り、アニサキス症を引き起こします。主な症状は、みぞおちの激しい痛みや嘔気嘔吐があり、多くは4~6時間後に発症します。内視鏡で虫体を摘出することで痛みがおさまります。

十二指腸潰瘍

まったく症状のない場合もありますが、主な症状は、空腹時のみぞおちの痛みです。吐血や下血を起こすこともあります。胃潰瘍と同様に胃酸を抑える薬で治療を行いますが、、ピロリ菌に関与しているといわれ、陽性の場合は、ピロリ菌の除菌を行います。十二指腸の中でも球部と言われる胃に近い部分にできることが多く、胃の壁に比べて十二指腸の壁は薄く、穿孔する場合があります。

十二指腸炎

十二指腸の、潰瘍ほど深くない粘膜障害の状態を十二指腸炎と言います。アルコールやストレスによって、胃酸の分泌が過多になるのが原因とされていますが、ほとんどが無症状です。症状が見られる場合には胃薬で治療を行います。

大腸の病気

感染性腸炎・食中毒・急性胃腸炎

ウィルス感染(ノロウィルス・ロタウィルスなど)や細菌感染(サルモネラ・カンピロバクター、病原性大腸菌(o157))によって発症する胃腸炎を指します。主な症状は、腹痛・下痢・嘔吐・発熱です。治療方法は、ウィルスが原因の場合、抗生剤は効果がなく個々の症状に合わせた対症療法を行います。細菌感染の場合、有効な抗菌薬投与を行います。

虫垂炎(盲腸)

虫垂炎は、いわゆる『盲腸』と言われる病気で、胃の辺りがモヤモヤして、その下腹部右下の方へ痛みが移動してくるという症状が一般的です。下痢を伴うことはほとんどなく、軽症の場合は抗菌薬投与によって改善しますが、ケースによっては開腹手術を行うこともあります。

大腸ポリープ

大腸ポリープは大腸の粘膜にできたイボのような形をしたものの、総称です。
腫瘍とそれ以外のポリープに大別され大きくなるほど一部にがんを合併する率が高くなります。
大腸がんになる可能性のあるポリープをより早くみつけるためには、癌検診(便潜血検査)をうけていただく事が重要です。
便潜血検査により、進行がんの90%以上、早期がんの約50%、腺腫などのポリープの約30%を見つけることができ、その結果、大腸がんの死亡率を約60%さげることが報告されています。
5mmを越える大腸腫瘍は、基本的に内視鏡を使って切除することが勧められます。
腺腫がすべて、がんになるわけではありませんが、腺腫を切除することで、大腸がんにかかる率を約80%減らすという研究結果があります。
腺腫や、がんが粘膜だけにとどまる場合には、リンパ節への転移はあまりないので、病変を切除するだけで治ります。
ただし、内視鏡で切除した病変を顕微鏡で調べ、がんが粘膜下層まで深く入り込んでいることがわかった場合は、リンパ節への転移が約10%あるといわれており、リンパ節を取り除く追加手術を行うかどうか検討が必要です。

大腸がんを完全に防ぐ方法はありませんが、発生リスクを高めてしまう危険因子や、発生リスクを下げる予防因子があります。
年齢(50才以上)、大腸がんの家族歴があることは最大の危険因子です。
その他には、赤身肉や高カロリーの摂取、肥満、過度のアルコール摂取、喫煙も危険因子となります。
一方、予防因子としては、適度な運動習慣があげられます。
食物繊維、野菜を食べる習慣をもつ方にリスクが低いこともわかっていますが、積極的に摂取することで発生率を下げる効果があるかどうかは、まだ証明されていません。

5mm以下の大腸ポリープを認めた方や大腸ポリープの治療を行った方は、わが国では一般的に1年後に大腸内視鏡検査が推奨されていますが、海外のガイドラインでは3~5年後が推奨されています。

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大腸がん

日本人の大腸がん罹患率は非常に多く、近年の食生活や生活習慣の欧米化が原因とされています。大腸がんは治療効果が高いのが特徴で、早期であればほぼ100%完治するので、早期受診・早期発見がとても大切です。大腸がんも他のがん同様、初期症状がほとんどないため、早期発見のためには定期的な内視鏡検査が必要です。とくに、親族に大腸がん罹患者がいる人や40歳を過ぎた方は、定期的な内視鏡検査をおすすめ致します。
日本人の部位別がん死亡数は、女性では1位、男性では3位となっています。

腸閉塞

腸の動きが悪くなり、通過障害をきたしている状態を腸閉塞と言います。イレウスとも呼ばれ、主な症状は腹痛・嘔吐・便秘・腹部膨満感などです。大腸がん・開腹手術後の腸管癒着・内服薬による副作用などで起こることがあります。禁飲食、点滴加療、場合により手術が必要になることもあります。

大腸憩室

大腸憩室とは、大腸粘膜の一部が、内圧の上昇や腸管壁の脆弱性を背景として、囊状に腸壁外に突出した状態のことです。
大腸憩室症は、大腸内視鏡検査を受けた40-60歳の日本人の18%、60歳以上の79%に認められます。
高齢者に多く、日本人では右側結腸に多いとされてきましたが、近年は食習慣の欧米化により左側結腸の憩室が増えてきています。
多くの場合、通常無症状ですが、大腸憩室症の5%の患者さんが、大腸憩室炎や大腸憩室出血を起こすことがあります。
大腸憩室を有する患者さんのうち、年間1,000人あたり0.46人の大腸憩室炎が発症し、年間1,000人あたり0.46人の大腸憩室出血が発症することが報告されています。
大腸憩室炎は、憩室内の細菌感染や虚血性変化により、限局性の疼痛で発症します。
保存的加療で軽快することが多いですが、ときに膿瘍形成や腹膜炎、腸管穿孔により外科手術を要することがあります。大腸憩室炎の再発率は1年で8%、5年で17%、10年で22%あるとされています。残念ながら再発を予防する明確な方法はまだ分かっていません。
大腸憩室出血は、憩室内の血管の破綻により、痛みのない突然の鮮血便を発症し、大量出血によりショック状態となり輸血や止血処置が必要になることもあります。
多くの場合(70-90%)は自然に止血されます。
(受診後24時間以内の緊急下部消化管内視鏡検査でも出血部位の同定率は26%程度です)
再出血率は、1年で20-30%、2年で30-40%と報告があります。

大腸憩室炎

大腸憩室が炎症を起こしている状態を大腸憩室炎と言います。主な症状は、腹痛・発熱で、抗菌薬投与で治療を行います。ときに入院、絶食、点滴加療が必要となる場合もあります。

憩室出血

腹痛を伴わない突然の血便があるのが特徴です。心臓病などで血液をサラサラにする薬を服用している人が発症しやすいので注意が必要です。治療方法は、安静・絶食などの保存的治療で軽快します。ただし、繰り返す下血や出血が止まらない場合は回復手術を行う場合があります。

虚血性腸炎

突然の下腹部痛の後、下痢が起こり徐々に血性下痢となる場合は、この疾患を疑います。
突発する血便に対する緊急内視鏡により診断されるなかで、最も頻度の多い病気です。
病因は不明ですが、血圧低下、動脈硬化などの血管側因子と腸管内圧亢進などの腸管側因子がからみあい、腸粘膜あるいは腸管壁の血流低下を引き起こして虚血状態を作ると考えられています。
女性に多く、便秘の人に多く、若年者にもみられ、血管側因子が関与した場合は重症化することもあります。
具体的には、便秘症、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脳血管障害、心疾患、心房細動や心不全などの心疾患、膠原病や、薬剤(ジギタリス、降圧薬、経口避妊薬、NSAIDs、パクリタキセル(タキソール)、カルボプラチン(パラプラチン)、シンバスタチン(リポバス)など)が原因となり得ます。
再発率は少ない病気ですが、便秘や便通異常が原因で再発した場合は薬物治療(トリメブチン(セレキノン)など)が必要になります。
軽症の場合は通常薬物治療は必要とせず、腸管の安静を保つことで加療を行います。
重症の場合は抗菌薬投与が必要なときがあります。
痛みが強い場合や血便が持続している場合は、腸管を安静にするために入院し、絶食治療します。

虚血性腸炎を発症すると、強い腹痛に見舞われ、血便も出ますが、ほとんどの場合は短期間で軽快することが多いので心配はいりません。潰瘍ができることもありますが、自然に治っていきます。
血便の精査のために、下部消化管内視鏡をお勧めします。

痔には、痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)の3種類があります。痛みや出血がある場合は、外科的治療が必要になることがありますが、軽症の場合は排便習慣の改善・食生活や生活習慣の改善・坐剤・内服薬で治療を行います。

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潰瘍性大腸炎

炎症性腸疾患のひとつで、難病指定にされている病気です。罹患者数が年々増加傾向にあり、適切な治療を受ければ普通に日常生活を送ることができます。主な症状は、腹痛・下痢・血便などで、若年者の発症が多いとされています。大腸カメラで大腸粘膜を観察し生検を行い診断します。治療方法は、内服薬による薬物療法が中心で、免疫調整剤・抗体製剤などの特殊な治療を行う場合があります。さらに、血球成分除去療法や手術などが必要となる場合もあります。

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クローン病

原因不明の炎症性腸疾患で、難病指定にされている病気です。主な症状は、腹痛・下痢・血便・痔瘻などがあります。潰瘍性大腸炎と同じように、大腸カメラで大腸粘膜を観察して診断します。治療方法は、食事療法・薬物療法・血球成分除去・手術療法などがあります。

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ベーチェット病

潰瘍性大腸炎やクローン病と同様、難病に指定されている病気です。口腔内のアフタ性潰瘍(アフタ性口内炎)や皮膚症状・眼のブドウ膜炎・外陰部潰瘍が主な症状です。全身に症状が現れるのが特徴で、消化管病変を伴い、腹痛や下痢、下血など消化器症状が見られます。治療方法は、ステロイドや免疫調整剤などの特殊な薬物を用いた治療となります。

過敏性腸炎

過敏性腸炎は、便秘と下痢を繰り返す症状が特徴です。主な原因は、ストレスと言われていて若年者の発症が増加傾向にあります。ストレスが多い現代の社会特有の現代病とも言われています。症状は、便秘型・下痢型・混合型と3つに分けられていて、治療方法はそれぞれの症状に応じて、食事療法や薬物療法などが用いられます。潰瘍性大腸炎や大腸がんなどが隠れている場合があるので注意が必要です。過敏性腸炎の方は、一度大腸カメラを受けることをお勧めします。

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便秘

便秘の症状は人それぞれで、「便が出ない」、「便が出にくい」、「便が3日以上出ていない」、「ウサギの糞のようにコロコロしている」、「排便回数が少ない」などと表現も人それぞれです。腹部膨満感などの不快感やお腹の張りなどを訴えることが多く、原因によって治療方法が変わるので、患者さんの症状の原因をはっきりさせることが重要になります。便秘は、機能性便秘と器質性便秘に分類され、「機能性便秘」は生活習慣やストレス、運動不足などのほか、旅行や転勤などによる食事や生活様式の変化、甲状腺の病気、糖尿病に伴うもの、抗うつ薬など腸管運動を低下させる薬物使用による便秘、また高齢者や妊産婦に多い大腸の蠕動運動の低下による便秘を指します。
一方、「器質性便秘」は、大腸がんや腸管の癒着、子宮や卵巣の疾患、クローン病による狭窄、による便秘を指します。
急性発症した便秘、発熱を伴う便秘、嘔気嘔吐を伴う便秘、体重減少を伴う便秘、貧血・血便・便潜血陽性、一般的な便秘治療に反応しない便秘、大腸癌の家族歴のある場合、は器質性便秘症が疑われ、適時検査(採血、レントゲン、CT、大腸カメラ)を行うます。

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肝臓・胆のう・胆管・膵臓の病気

肝臓の病気

肝障害

検診における採血検査の結果、AST・ALT・rGTPが異常値の状態を肝障害と言います。無症状の場合が多いですが、重大な病気が隠れている可能性があるため、詳しい採血、腹部エコーや腹部CT検査などを受けましょう。

急性肝炎

肝臓は、食事によって吸収した栄養を利用しやすい形に変えたり、毒物を分解したり、体内の物質のバランスを維持したりなど、非常に重要な多くのはたらきを担っています。なんらかの原因によって、肝臓の細胞が壊れてしまった状態のことを肝炎といいます。
肝炎の原因は、ウィルス性(B型肝炎・C型肝炎・まれにA型肝炎・E型肝炎・D型肝炎)、アルコール性肝炎・自己免疫性肝炎などがあります。肝炎が長期にわたり続くことで、肝硬変へ進み、肝細胞癌発生のリスクが高くなるために肝炎を指摘された際は、早めに受診をしてください。

脂肪肝

脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まっている状態を言います。脂肪肝から肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があるため注意が必要です。さらに、高血圧や高脂血症などさまざまな生活習慣病リスクの恐れがあるとされています。多くは、ダイエットをすることで改善するケースがほとんどで、まずは生活習慣を改善することが大切です。

脂肪肝は、肝臓に脂肪滴がたまった状態の事をいい、予後が良好な『非アルコール性単純性脂肪肝』と、進行性の『非アルコール性脂肪肝炎』があります。
脂肪肝の約1割が『非アルコール性脂肪肝炎』です。
この場合は、肝硬変に移行したり、肝がんを併発することがあります。
単純性脂肪肝か、脂肪肝炎かを鑑別するには、肝臓の組織を採取して顕微鏡で調べる肝生検を行うしかありません。
単純性脂肪肝の場合は、通常の2倍の頻度で糖尿病を発症するといわれます。
定期的に検査を受けて、進行をチェックし早期からの対策が必要です。
脂肪肝の薬物療法は確立されておらず、治療の基本は、食事の摂取カロリー制限や間食の禁止、食生活の見直しなどの食事療法と、有酸素運動を基本とした運動療法です。
改善が乏しい場合は、非アルコール性脂肪肝炎の確認をしてから、積極的な薬物療法を試みます。3カ月おきに採血して、定期的に肝機能の改善の有無をみます。

普段の生活では以下のことに気をつけてください。
  • 間食や夜食は控えましょう。水分の摂取はカロリーの含まれていないものを飲用します。
  • 腹八分目を目安に食事をし、揚げ物、炒めものは控えましょう。
  • 定期的に体重を測りましょう。肥満の人はBMI25未満を目標に、やせるようにしましょう。
  • 適度な運動をしましょう。毎日30分程度の有酸素運動が目標です。
NASH(非アルコール性脂肪肝)

脂肪肝は、アルコールが原因でなることが多い一方で、アルコール摂取をしない人でも脂肪肝になる場合があります。これをNASHと言い、NASHの患者さんのおよそ10%が肝硬変や肝臓がんに進行すると言われているので注意が必要です。基本的に経過観察で大丈夫ですが、定期的な採血とエコー検査をお勧めしています。

肝硬変

肝硬変は、肝臓が硬くなった状態を言い、慢性肝炎が長期的に続くことで徐々に肝硬変へと進行します。肝臓がんのリスクがあり、さらに食道静脈瘤や腹水貯留・肝性脳症など重篤な合併症を併発することがあるため、定期的に受診・検査が必要です。

肝臓がん

現代の日本では肝臓がんの罹患者数が増加傾向にあり、男性の場合がんによる死亡原因が、肺がんや胃がんに次いで第4位となっています。肝硬変や慢性肝炎などの肝臓疾患が原因であることが多く早期発見のために定期的な通院、検査(採血、腹部超音波、CT)を行いましょう。

胆のう・胆道の病気

胆石症

胆汁は、食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化吸収の役割の一端を担う黄褐色の消化液で、肝臓で一日に600-800ml程度作られ、十二指腸に排出されます。
この胆汁が流れる道を、胆道とよび、胆道に石(結石)ができる病態を総称して胆石症とよびます。胆石が出来る部位にて、『胆嚢結石』、『胆管結石』、『肝内結石』に分けられ、胆嚢結石が80%と一番多く、胆管結石は約20%、肝内結石は約2%程度です。
食生活の欧米化に伴い、年々増加しており成人の1/10は胆石を持っているとされています。胆石は、コレステロール石と色素石の2種類があります。
最も頻度の多い(80%)コレステロール石の出来やすい特徴としては、女性、肥満、急激な減量、妊娠回数の多い方、などが言われています。色素石にうちのビリルビンカルシウム石は胆汁の感染が原因と考えられています。
胆石症になっても、2-3割の人はほとんど症状がありません。
しかし半数以上の人には、胆道通といわれる特徴的な右の肋骨の下の部分や、鳩尾の痛み、右肩に放散する痛みがみられます。
また、皮膚が黄色くなる『黄疸』や、皮膚がかゆくなったり、褐色の尿(ビリルビン尿)が出現することがあり、細菌感染を起こすと、発熱を起こすこともあります。
痛み、発熱、黄疸といった症状が出たときには緊急の治療が必要となり、炎症反応を把握するために採血、腹部超音波検査、腹部CT検査、MRI検査などを行います。
総胆管結石があるときには、ERCPという内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆汁が腸間へ流れ出る十二指腸乳頭から胆管へカテーテルを挿入し加療を行うことが必要のなりますので、近隣病院へご紹介いたします。

胆のう炎

胆のうが炎症を起こしている状態で、胆石が胆嚢管にはまってしまって、細菌感染が起きることで発症します。
主な症状は、食後数時間してからの吐き気や嘔吐、上腹部の痛み、悪寒や発熱などです。
治療方法は、外科的手術で胆のうを摘出します。

胆管炎

胆管内の胆汁に細菌が感染して炎症を起こしている状態を胆管炎と言います。胆石や総胆管結石、胆道系のがんが原因と考えられています。治療方法は、抗菌薬投与による治療を行いますが、抗菌薬が届きにくい場所ということもあり、高齢者など致死的となる場合があるため、内視鏡的処置が必要のなりますので、近隣病院へご紹介いたします。

胆のう腺筋腫症

胆のうの壁が厚くなる病気です。無症状が多く、また良性の場合がほとんどなため、胆のう腺筋腫症と診断を受けても心配はありません。人間ドックや検診のエコー検査で偶然発見する場合が多いですが、そのあとは年1回の検査での経過観察で良いでしょう。胆のうがんと区別しにくいケースがあるため、場合によってはCT検査を行いましょう。

胆のうポリープ

胆のうの中にできるポリープで、発見頻度は4.3~6.9%程度です。
多くに場合は、無症状で、コレステロールポリープ、炎症性ポリープ、腺腫などがあり、最も頻度が高いのは、コレステロールポリープです。
がんの疑いが晴れないときは手術をしますが、そうでない場合は1年に1度の経過観察で十分です。
大きさが5mm以下であれば1年ごとの超音波検査で経過観察でよいですが、ポリープの付着部分が太い広基性の場合はがんの疑いが強くなり、大きさが10mmを超えてもがんの可能性(88%が悪性の報告があります)がでてくるので、手術も含め検討が必要となります。
ポリープの形を見る超音波内視鏡検査や、CT、MRIなどを行い総合的に判断をします。
がんの疑いが否定できれば、1年後に超音波検査を受けてください。
がんの疑いが晴れなければ3カ月後に超音波による再検査を行うか、手術の方針となります。

胆のうがん・胆管がん

胆のうがん・胆管がんは予後の良くないがんとして知られています。その主な原因としては、症状が出にくいことと、臓器自体が小さく壁が薄いので周囲が浸潤しやすいなどが挙げられます。胆のうがんや胆管がんによる死亡率が年々増加していることからも、早期発見が重要です。定期的な検査、とくに腹部エコー検査が大切です。

体質性黄疸

先天的な黄疸症状で、皮膚や眼球が黄色くなったり、血液中のビリルビン数値が上昇します。長期間絶食状態になったときや、風邪をひいたとき、過度な疲労があるなどが誘因となって症状が悪化します。自覚症状がほとんどなく、治療方法も基本的ななく、特別な治療も必要ありません。

膵臓の病気

膵炎(急性膵炎・慢性膵炎・自己免疫性膵炎)

膵臓に炎症を起こしている状態を言います。原因不明の場合もありますが、多くはアルコールや胆石が原因です。
症状としては、おへその上のあたりの上腹部や背中の激しい痛み、吐き気や嘔吐、軟便や下痢などがみられますが、症状は重症度によって異なります。一時的な腹部の痛みや嘔吐など軽いものから、ときに命にかかわるような重いものまであります。
入院が必要となることもあり、安静・絶食・大量輸液などを行います。
慢性膵炎とは、遺伝的・環境要因・その他の危険因子により膵臓へ持続的な炎症が起きたことにより起こる疾患で、膵臓が硬くなったり(線維化)、膵臓の中に石(膵石)ができたりします。膵臓の機能低下に伴い、下痢を起こしやすく、糖尿病を引き起こしたりします。自己免疫性膵炎は膵臓全体や一部が腫大し、黄疸を引き起こす場合があり、IgG4関連疾患ともされています。

膵がん

膵がんは、最も予後の良くないがんのひとつです。膵がんによる死亡率も年々増加傾向にあり、がんによる死因では第4位となっています。早期発見が難しい病気のため、定期的な腹部エコー検査が大切です。

膵のう胞

膵臓内や周囲にできる袋や液体のかたまりのことを言います。さまざまな種類があります。ほとんどが無症状で、放っておいても問題ありません。しかし、中には悪性化するものもあるので注意が必要ですので定期的に検査をすることをおすすめします。また、急性膵炎の炎症後にできるのう胞もあります。

膵IPMN

膵IPMNは、膵管内に粘膜を産生するタイプの腫瘍です。膵のう胞の一種で、症状はほとんどありません。人間ドックやエコー検査で偶然見つかることが多く、そのほとんどが良性の場合が多いですが、時間をかけて悪性に変化することもあるので注意が必要です。

腹部の病気

腹部エコー検査

腹部エコー検査では、肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・前立腺・膀胱などを観察することができます。炎症や結石・腫瘍ができていないかを観察することができます。
胃カメラや大腸カメラでは、消化管は観察できますが、肝臓などの実質臓器は観察できません。下剤を飲むなどの検査前処置が必要なく、痛みや苦しみがなく、ベッドサイドで即検査できるため非常に有用な検査として用いられています。とくに、腹痛の原因を調べるときに有効な検査で、それと同時に胆石や胆のう炎・尿路結石・胆のう胞・膵のう胞などの病気が見つかる場合があります。

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